2010年1月22日金曜日

星、墜つ~Teddy Pendergrass

Artist:ハロルド・メルビン&ザ・ブルーノーツ
Album:Harold Melvin & the Blue Notes
Song:If You Don't Me By Now









再度の追悼ネタで申し訳ありせん。1月13日にテディ・ペンダーグラスが死去していました。結腸癌の手術後の合併症によるものらしいです。享年59歳。若すぎる死でした。TP(Teddy Pendergrass)は1970年代に絶頂期を迎えたフィラデルフィア・ソウル(フィリー・ソウル)の最後の輝ける星でありました。ちょっと長くなりますが、フィリー・ソウルについて簡素にまとめたサイトがありますのでそこからの引用です。「1970年代に入り、アメリカにおける黒人音楽の勢力地図は少しずつ変化し始めていました。1960年代後半に一大ブームを巻き起こしたスタックスは、オーティス・レディングの死や社内における白人、黒人経営陣の対立により、内部分裂を起こし急激にその勢いを失いつつありました。(1976年、スタックスは倒産に追い込まれます)
 同じく1960年代に黄金時代を迎えていたモータウンもまたその栄光に陰りが見え始めていました。スティービー・ワンダーやジャクソン5など、大物アーティストたちの移籍などで、しだいに勢いを失いつつあったうえに、ワンマン社長ベリー・ゴーディーが映画界進出を目指したことから1972年にデトロイトからロスアンゼルスへとその本拠地を移したことで、いよいよその凋落は避けられない状況になります。(この時、多くの優秀なスタッフが彼の元を去ってゆきました)
 そんな1970年代前半、ソウル界で一際輝きを放っていたのがフィラデルフィア発のフィリー・ソウルをブレイクさせたPIRことフィラデルフィア・インターナショナル・レコードでした。1970年代も半ばを過ぎるとディスコのブームによってソウルの黄金時代はいっきに終わりを迎えるだけに、このPIRの活躍はR&B、ソウルの時代にとって最後の輝きだったといえるかもしれません。しかし、モータウンやスタックスに比べるとPIRへの評価は明らかに低く、その詳細についてもあまり知られていません。それはもしかするとPIRが生み出したフィリー・ソウルの特徴がゴージャスなストリングスや美しいコーラスにあったことから「黒っぽさ」に欠けると思われていたからかもしれません。多くの黒人音楽ファンにとって、ソウル、R&Bの「黒っぽさ」はその魅力度を測る鍵です。それだけに、ヨーロッパ的で華麗なストリングスや美しいスタイリスティックスのファルセット・ヴォイスなどは、「黒人音楽らしいソウルっぽさ」が感じられないと思われがちだったように思います。」(鈴木創(すずきはじめ)さんのサイトからの引用)

 フィリー・ソウルはギャンブル&ハフ(ケニー・ギャンブル&レオン・ハフ)という敏腕プロデューサーとドム・ベルという才能あふれるアレンジャーの三人の出会いから、始まりました。そしてシグマ・スタジオを根城に数々の名曲を生み出していきます。バックバンドはMFSB(Mother,Father,Sister,Brother)という鉄壁のミュージシャン達が控えていましたし、所属するアーティストもデルフォニックス 、オージェイズ、ビリー・ポール 、スリー・ディグリーズ やそして、テディ・ペンダーグラスがリードヴォーカルとして在籍していたハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツ などきら星の如くでした。解説にありますようにソウルファンから汗の飛び散る音楽とはほど遠いスタイルのため、「軟弱だ」とか「あれにはソウルがない」など言われていますが、私個人は、黒人の社会的地位の向上にともなった、時代の要請と捕らえると、こういう都会的な、洗練された音楽が生まれたのも当然だったと思います。けっしてソウルの精神が忘れられたわけではありません。

その後、テディ・ペンダーグラスは70年代後半ハロルド・メルビン&ザ・ブルーノーツをぬけ、ソロに転向、男性的な骨太のヴォーカルが多くの女性ファンを酔わせ、コンサート中に熱いラブソングに興奮した女性ファンの、パンツが飛んで来たという逸話まであるようです。
ちなみに、志村けんのヒゲダンスのバックの音楽は彼の「Do Me」というのは有名な話です。しかし、1982年に交通事故で下半身が麻痺。その後、車椅子生活を余儀なくされ、その半生は過酷な試練の連続でした。つつしんで、その冥福をお祈りいたします。


5 件のコメント:

  1. 「If You Don't Me By Now」はカバーヒットのシンプリーレッドが定番でしたが、やっぱりオリジナルですね・・・。「よっ!この女泣かせ!」と声をかけたいくらい
    メローな声がたまりなせんな・・・。監督ジョン・ランディスが撮った「アメリカンパロディーシアター」でBBキングが「最近、ソウルを忘れた若者を救済しよう!」と登場し、次のカットで白いグランドピアノの前でカーペンターズを歌う黒人の若者が登場するというコメディー映画がありましたが、そのシーンを思い出しました。

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  2. あ、それ見たことあります。時々「ソウルを忘れた」若者が登場するんですよね。BBキングまじめにやるところがいいですね。
     ネットで検索すると、この曲、シンプリー・レッドの曲と思っている人。結構多いみたいですね。

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  3. のっぽのサリー2011年9月5日 17:53

    やー、本当にすばらしい歌声ですね~
    ソウルってあんまり聴いたことがなかったのですが、
    前に調べ物をして、アル・ジャロウに辿り着き、図書館からCDを借りて聴いてみて、そのすばらしい歌唱力とリズム感に感激でした。
    お気に入りは、「奏でる愛」「モーニン」「Heaven and Earth」などです。
    世界陸上を見てても思ったのですが、やはり、かなわないなあって。
    本当に素晴らしいですよね!

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  4. のっぽのサリー2011年9月5日 17:55

    追伸
    今日から、ソフトバンク戦なんですよ~(^^;
    負けられないです!!
    お手柔らかに!(^o^)ヾ

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  5. のっぽのサリーさんコメントありがとうございました。
    ソウルもいいですよ。サムクック、アレサフランクリン、オーティスレディング、ジェームスブラウン、etc,聞いてみて下さい。アルジャロウはジェイ・グレイドンが参加したあたりがいいですよね。確か、リズム感にはDNAが関与しているって報告もあったような・・。でも少しでもそれに近づこう姿にも感動させられます。ソフトバンク戦ですね。返り討ちにあわないことを願っています。(笑)

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