2010年11月25日木曜日

誕生~Beach Boys

Artist:ビーチ・ボーイズ
Album:Studio Session 61-62
Song:Lavender

at 3701 W. 119th Street, Hawthorne, California
L.Aの一角にあるこの住所は、Beach Boys Fanにとっては忘れられない場所です。そう、ここでBrian, Dennis, CarlのWilson3兄弟が「誕生」し、生まれ育った家があった場所です。今では、高速道路の沿線となっているため見る影もありませんが、1940年の後半、家の前に芝生があり、平屋の、アメリカのごく一般的な家にWilson一家は住んでいたのでした。












(自宅の前ではしゃぐBrian,Dennis,CarlのWilson3兄弟)


長男のBrianが多感な思春期に夢中になったのは、ラジオから流れてくる音楽でした。R&R、R&B、Doo-Wopなどなど、そしてもう一つ、Brianの心を捕らえて離さなかったのが、ジャズ・ボーカル・グループ、”フォーフレッシュマン”のコーラスでした。ピアノの置いてある部屋にこもってはひたすら、その複雑なコーラスの音の構成を鍵盤の上でなぞっていき、ついに兄弟でそのハーモニーを再現するまでになりました。1960年初頭、彼等はモーガン夫妻の経営する"X-レコード”で生まれてはじめてのレコーディングを”ペンデル・トーンズ”名義で行いますが、驚くべきことに、この時すでにBeach Boysはあの複雑な”フォーフレッシュマン”のコーラスを習得していたのでした。「Studio Session 61-62」と題されるこのCDは、所謂「モーガンズ・テープ」と言われる、デビュー前のレコーディング音源ですが、その中の”Lavender”(モーガン夫人の作)という曲は、高度なコーラスをすでに自分のものにしていたということを証明する、貴重な音源です。すでにデビュー前にしてBeach Boysのあのコーラスは「誕生」していたのです!

Beach Boysの「誕生」の地である、この場所、日本なら歴史的な人物ではないかぎり○○生誕地という記念碑は立たないと思いますが、そこはアメリカ、数年前、この地に記念碑を建立しようという住民運動が高まり、寄付を募ったサイトをたまたま見つけ、私も協力させてもらいました。寄付をした人にはその記念碑に名前が刻まれるという、特典付きでした。そうして、自分の名前がこの記念碑に刻まれることになりました。(人生の折り返し点を過ぎた私にとって、大好きなBeach Boysの「誕生」の地に自分の名前を刻めたことは、自分にとっては生前に残した墓碑銘(終焉)のような想いがあります。)
(at 3701 W. 119th Street,Hawthorne,CaliforniaにできたBeach Boysの記念碑)

(左端の柱の左端あたりに刻まれています。)














話は変わりますが、我がバンド浪夢(ロム)に「誕生」という曲があります。生まれ来る子供達にとって、「誕生」とは「愛されること」に他なりません。
それは誰もがもっている記憶であるべきです。しかし、この記憶を与えてもらえない子供達が増えています。子供達にすべてに与えられいるはずの「愛される記憶」。「誕生」には僕らのそんなメッセージが込められています。この曲の島原でのLiveの映像を相棒が編集してくれ、このほど完成いたしました。「浪夢オリジナル曲」のコーナーにアップいたしましたので、聞いてみて下さい。

そしてもうひとつ、「誕生」という曲のメッセージに関連するのですが、「誕生の記憶」と「愛されることの記憶」のふたつをテーマとして「幼児虐待」という問題に取り組んだ、ドキュメンタリーが11月28日(日)の深夜に日テレ系列で全国放送されます。相棒であるY医師の「タッチケア」への取り組みとその思いを描いた番組です。制作はこのブログに時々、コメントくれます福岡放送FBSのCantoku氏。是非ご覧下さい。


「誕生」という曲で繋がっていく色んな人の想い、浪夢にとって特別な曲になっています。

(”Lavender”の音源はありません。)

("Their Hearts Were Full Of Spring"(心に春がいっぱい)by Beach Boys1965年、フォーフレッシュマンのコーラスを完全に自分達のものにしています。)

2010年11月12日金曜日

冬の始まり~Carol & Cheryl

Artist:キャロル&シェリル
Album:Dream Boy Vol.2
Song:Sunny Winter

朝晩の冷え込みが本格的な冬の到来を告げています。9月のブログで取りあげました”Woderful Summer”が「夏の終わり」の歌なら、それに対をなす「冬の始まり」の歌がこの”Sunny Winter"ということになります。どちらも60’sの極上のガールズ・ティーン・ポップです。

Carol & Cherylについて、すこしお付き合い下さい。昔々、アメリカはLAにアネット・クレインバードというイタリア系の女の子がおりました。1958年、LAの郊外にあるフェアファックス・ハイスクールという高校で、その女の子は、ある男子生徒と出会います。男の子は音楽が好きで、その頃からレコーディングなどをやっておりましたが、ピアノがあまり弾けません、彼女はピアノが弾けてその上楽譜が読めたので、レコーディングを手伝うことになりました。彼女がリード・ボーカルを取ることとなったその曲は”To Know Him Is To Love Him”(邦題:逢ったとたんに一目惚れ)。あと二人を加えて4人で結成したテディ・ベアーズというグループ名で最初はインデーズ・レーベルからデビューすることになります。そしてたちまち大ヒット、全米No.1を獲得しました。

彼女の運命を変えた、男子学生の名はフィル・スペクター。後に”ウォール・オブ・サウンド”というエコーを効かせた独特のサウンドで60’sのポップスを牽引して行くことになる伝説のプロデュサーです。
しかし幸運は長く続きませんでした。その後、大手のレコード・レーベル、インペリアルに移籍し、3枚のシングルとアルバム『The Teddy Bears Sing』を残しましたが、鳴かず飛ばずの状態で、更にトレイ・レコードに移籍した彼らはスペクター・スリーと改名して2枚のシングルを発表しました。しかし、これらはいずれもセールス的に不発で、彼らは1959年にあえなく解散してしまいます。
その後スペクターは本格的な、レコーディング技術を勉強するため、ニューヨークへ旅立つことになります。残されたアネット・クレインバードはキャロル・コナーズ(Carol Connors)と名前を改名し、作曲家兼シンガーとして活動することになります。そして65年、Colpix・レーベルから妹のシェリルと吹き込んだこのシングル(A面は”Go Go G・T・O”)です。時は、サーフィン・ホッド・ロッドブーム。後にビーチ・ボーイズのメンバーとなる、ブルース・ジョンストン(ブログ”Disney Girls”を参照)とテリー・メルチャー(ドリス・デイの息子でビーチ・ボーイズとも親交が深く、後に設立する「イクイノックス」レーベルも有名です。また、このシングルのプロデューサーでもあります。)のリップ・コーズというバンドへ”ヘイ・リトル・コブラ”を提供したりしてますが大きなヒットとはなりませんでした。70年代に入って一念発起した彼女はニューヨークへ進出。ビル・コンティーと組み「ロッキーのテーマ」という大ヒットを生みます。
フィル・スペクターのその後の活躍については、ご存じでしょうから省略いたしますが、1970年発表のアルバム「レット・イット・ビー」のプロデュース。ポール・マッカートニーとの確執、ジョージ・ハリスンとジョン・レノンのソロアルバムのプロデュース。1989年、ロックの殿堂入りを果たすものの、2003年2月、自宅で女優ラナ・クラークソンを殺害した容疑で逮捕された。現在は保釈中。とその奇行も伝説となっています。
話がそれてしまいましたが、そんなキャロル・コナーズのこのシングルは、長い間CD化されるされることがなく、60’sのポップスファンの間ではまさに、垂涎の的だったのですが、日本のM&Mというレーベルが貴重なティーン・ポップスのシングルをまとめてCD化してくれました。M&Mはその後、無くなり、現在すべて廃盤となっていますが、この「Dream Boy」のシリーズは私の宝物となっています。

(Sunny Winter by Carol & Cheryl このDreamyなメロディーは今でも色褪せることがありません。)

2010年11月10日水曜日

ウェスト・コースト・コーラス~Rhythm Cafe

Artist:リズム・カフェ
Album:Rhythm Cafe
Song:Daddy's Song

 「ウェスト・コースト・コーラス」なんてタイトルを付けてしまい、何のこっちゃと思われるかもしれませんが、我々が慣れ親しんでいる70’Sのウエスト・コースト・ロックで聞かれるコーラスという意味なんです。
CNS&Y,America,Eagelsなどのコーラス。あの心地よさはどんな音の構成なのか。
そんなことを考えつつ、思い出したアルバムがこれでした。
ジャケだけを見ると、ちょっとJazzyな音が聞こえてきそうですが、これが典型的なウエスト・コースト・サウンドなんです。そしてここで聞かれるコーラスが私の思う「ウェスト・コースト・コーラス」なんです。

 Rhythm Cafeはカナダ国境に近い、シアトルのグループ。
シアトルといえばイチローのマリナーズの本拠地。ロスやサンフランシスコに比べるとイマイチ地味な印象をうける街ですが、街は住みやすく、そして町並みがきれいだとイチローも言ってました。そんな素敵な街から生まれた音楽なんです。
 ボブ・マーキュア(Bob Marcure)とディアドレ・ロード(Deirdre Lord)の男女2人が1984年にリリースしたこのアルバム、当時は話題になることもありませんでしたが、日本のSSW好きの間では、裏名盤として長く語り継がれていました。(私も、このアナログ、渋谷のHi-Fiというレコード屋さんから手に入れ、よく聞いてました。)2006年に日本のセレスト(ceeste)というレーベルがCD化して、やっと評価されるようになりました。

このアルバムの魅力は何といっても、アコーステック・ギターの響きと2人のコーラス。ほとんどボブ・マーキュアさんの作です。そのメロディーも一流作曲家と比べると、「もうひとひねり足りないんだよな」と思われるかもしれませんが、その「何か足りない」という所に、私個人としては、なんとも言えない美学を感じます。等身大の手作りの音楽。そんな所に強く惹かれます。
 「ウェスト・コースト・コーラス」の本質はアコーステック・ギターの美しさとこの3度の音の積み重なったコーラスの響きなんだと思います。この世界から一生離れことはない気がします。とにかくSSWが好きで、アコギとコーラスの好きの方は是非このアルバム聞いてみて下さい。

(残念ながらこの曲の音源はありません。)

(Valley Island by Rhythm Cafe,この男女2部のコーラスも見事です。)

(Sunshine Lady by Rhythm Cafe,このコード進行に親近感を感じます。)

2010年11月4日木曜日

素晴らしい虹~Kenny Loggins

Artist:ケニー・ロギンス
Album:Return to Pooh Corner
Song:Rainbow Connection

島原でのLiveが終わり、出演者、スタッフが全員が、打ち上げへ向かおうとした矢先、東の空に、見事な虹が・・。













Liveの達成感も相俟って、一同感激でしたが、幕引きとしては、最高の演出でした。打ち上げ会場へ向かう道すがら、O.T氏曰く「天国のとうちゃんとかあちゃんが架けてくれたとよ。きっと・・。」、確かに何かにずっと守られていたような気がしました。密かに虹に向かって、感謝。

古今東西、虹に関する歌も沢山ありますが、なんといっても一番有名なのは「虹の彼方に」(Over the Rainbow)、オズの魔法使いでジュディ・ガーランドが劇中歌として歌った名曲ですね。作詞:エドガー・イップ・ハーバーグ、作曲ハロルド・アーレン。ジュディ・ガーランドは生涯この曲を愛し歌い続けたといいます。そして、世界中でもカヴァーされ、愛された曲ですね。
Over the Rainbowには劣りますがこの”Rainbow Connection”も虹のタイトルのつく曲の中では、私にとって、エヴァー・グリーン的な曲です。 作詞:Paul Williams 、作曲: Kenneth Ascherの作品で、最初に発表されたのが日本では幼児英語教育番組として有名な「セサミ・ストリート」の中でカエルのカーニーが歌ってました。詳細な歌詞は省略しますが、題名のRainbow Connectionとは「虹との繋がり」もっと違う言い方をすれば、「虹とのかかわり」というような意味だと思います。なぜ人は虹に願いをかけたり、虹は幸福な気持ちにさせたりするのだろうと歌っています。「セサミ・ストリート」で有名になったためか、米国の小学校の文化際などでよく演奏されるそうです。ケニー・ロギンスも自分の子供の合唱を聞いて、感動し、アルバムに取りあげたようです。カヴァーも多数あり、現在少しずつ、発掘中です。
「あの素晴らしいの虹」とのかかわりを音楽で表現すれば・・・この曲が一番ふさわしい気がします。
The rainbow connection written by Paul Williams

Why are there so many songs about rainbows?
なぜこんなにたくさん
虹についての歌があるんだろう
And what's on the other side
虹の向こうに何があるかの歌も・・
Rainbows are visions, but only illusions and
虹は見えるもの、だけど ただの幻想
Rainbows have nothing to hide
それに 虹は何も隠してない

So we've been told, and some choose to believe it
虹は幻想とそんな風に言われてきたし、そう信じる人もいるけれど
I know they're wrong wait and see
私は間違っていると思うし、だたの幻想ではないとわかるだろう
Someday we'll find it
なぜなら、きっといつか、私たちはそれを見つけるから
The rainbow connection
The lovers, the dreamers and me
虹のつながりを
愛する人、夢見る人と、そして私のつながりを

Who said that wishes would be heard andanswered?
When wished on the morning star
誰が言ったのだろう
朝の星に願いをかければ
願いは聞き入れられ 答えが出てくると
Someone thought up that, and someone believed it and
Look what it's done so far
誰かがそんなことを考えついて
誰かがそれを信じたから
そう、それがあたりまえになったんだ

What's so amazing that keeps us stargazing
And what do we think we might see
驚くべきことに、いまだに私たちは星を見つめ続けるし
そこに何を見いだそうとしている
Someday we'll find it
The rainbow connection
The lovers, the dreamers and me
きっといつか、私たちは見つけるだろう
虹のつながりを
愛する人たちと、夢みる人と、そして私のつながりを


All of us under its spell
We know that it's probably magic
私たちは みんな呪文にかかり
それはもしかして 魔法じゃないかと思ってる

Have you been sleeping
And have you heard voices
あなたは眠っている間に、声を聞いたことがある?
I've heard them calling my name
私は自分の名前が呼ばれるの聞いた

Is this the sweet sound that calls the young sailors?
The voice might be one and the same
これが若い水兵を呼ぶ魅惑の音なのか
あの声と同じものなのかもしれない
(*注:だぶんローレライの伝説がモチーフになっています)

I've heard it too many times to ignore it
It's something that I'm supposed to be
私はそれを無視できないほど何度も聞いたし
確かに私にそう思わせる何かなんだ

Someday we'll find it
the rainbow connection
The lovers, the dreamers and me
きっといつか、私たちは見つけだろう
虹のつながりを
愛する人と、夢みる人と、そして私のつながりを

Someday we'll find it the rainbow connection
The lovers, the dreamers and me
(Someday, some way, I know we'll find it)
The lovers, the dreamers and me
きっといつか、私たちは見つけるだろう
虹のつながりを
愛する人と、夢みる人と、そして私のつながりを
 (きっといつか、どこかに、私たちは見つける)
愛する人と、夢みる人と、そして私のつながりを

("Rainbow Connection" by Kenny Loggins)


(作者Paul WilliamsとSSWのJason MrazのJazzyなヴァージョン、やっぱりいい曲ですね。)