2010年10月27日水曜日

音楽の言葉~竹内まりや

Artist:竹内まりや
Album:Love Songs
Song:五線紙

 「浪夢 Live in 島原 With 仲間達」終わりました。
出演者、スタッフ、観客がまさに、三位一体となった、奇跡のような時間を過ごさせてもらいました。関わっていただいたみんなに改めてお礼申し上げます。やり遂げた充実感とその後のうれしい反響と、もう終わってしまったんだという寂しさが、ない交ぜになって、日を追うたびに、胸に迫ってきます。大袈裟ですが、人生の中での一つの節目の出来事だったような気がします。

「お客さんの送り出しの音楽にも、こだわりがあるでしょう」とPAのT.M氏に気を遣って頂き、私がBGMも選曲いたしましたが、この曲だけは、どうしてもはずせませんでした。

「五線紙」作詞:松本隆、作曲:安部恭弘
竹内まりやさんのすべての曲の中でも、3本の指に入るマイ・フェイバリット・ソングであり、長く音楽を続けてきた人にとって、かならず心の琴線に触れる、名曲だと思います。
(別ウインドウからこの歌詞サイトへリンクしてみて下さい→「五線紙:歌詞」

 コンサート前のホールの雰囲気、そして、過去~現在までずっと流れていた仲間達との時間、その関わりから生まれてきた歌達。僕らの年代にとって、それは自分の体験でした。そして、最後にこう歌われます。
十年はひと色 街影も夢色
変わらないものがあるとしたら
人を愛する魂(こころ)の 人を愛する魂の
人を愛するこころの 五線紙さ

どんなに美しい言葉を並べても、伝えきれない想いがあります。そんな時、メロディーに乗せた歌の方がそんな想いをストレートに伝えることができることもあるような気がします。
「音楽の言葉」というものがあるなら、そんな言葉を綴っていく事で、誰かを励ましたり、誰かと悲しみを共有したり、誰かに勇気を与えたり、そしてひとときでもいいから安らぎを与えたりすることがあるかもしれないと、今度のLiveを終えて改めて感じました。いつまでも変わらない仲間達の魂(こころ)に・・・・。

(五線紙by竹内まりや。バックのギターはジャズ・ギタリスト杉本喜代志さん)

(作曲者の安部恭弘さんとEPOさんの別ヴァージョン、これもいいですね)

2010年10月20日水曜日

歌がうまれてる~大貫妙子

Artist:大貫妙子
Album:LIVE Beautiful Songs
Song:歌がうまれてる

 いよいよ、「島原 Live」(→Liveのお知らせ)まであと3日、出演者のみんな、スタッフの皆さん、準備は着々と進んでおります。とにかく、楽しくやりましょうね。Live前の景気付けといってはなんですが、こんな曲はいかがでしょう。

大貫妙子さんに関しては、よくご存じでしょうが、かの山下達郎さんと”シュガーベイブ”を結成。その当時はあまり評価を得ることなく解散。最近になって、何故か再評価を受け、色々な音楽雑誌で取り上げられましたね。やっと時代が追いついてきたのかもしれません。その当時から独特なコード進行の曲を書いていたひとで、ソロになってからの”ミニヨン””ロマンティーク””アヴァンチュール”の3作でヨーロッパの香りのする独特な世界を確立しました。
その後、映画「Shall weダンス?」(監督:周防正行 96年)のメイン・テーマや、98年の映画「東京日和」の音楽プロデュース(監督:竹中直人/第21回日本アカデミー最優秀音楽賞を受賞)、スタジオジブリ初の海外配給作品「裸のキリク」イメージ・ソングなど、CMやどこかでその癒される声をお聞きになったことがあるはずです。

疲れたり、心配ごとがあったりするときこの声をきくと、なぜか”ほっこり”とした気分になります。

この「歌が生まれてる」という曲は鈴木慶一,奥田民生、宮沢和史、矢野顕子、大貫妙子という5人が集まったミレニアムLiveCD「LIVE Beautiful Songs」の中でBeautiful Beautiful Songsのテーマでそれぞれ5人が作った中の大貫さんの曲です。ある大きなテーマに沿ってそれぞれのミュージシャンがタイトルの違う歌を作るのも、そのミュージシャンの個性が出て、面白いかもしれませんね。今後のLiveの参考になります。

そんなワケで、「歌が生まれてる」を聞きながら、Liveに向けての静かな闘志を蓄えようと思います。新たな歌の種をまきながら・・・。

(”歌がうまれてる”by大貫妙子)

2010年10月14日木曜日

ひかり〜相川理沙

Artist:相川理沙
Album:ひかり(シングル)
Song:ひかり

 街が目覚める時、一日の内でもそんな時間が大好きです。
年をとった精か、最近、早起きの習慣がついてしまい、夜明け前に目が覚めることが多くなりました。私の住んでいる所は、田園の中に、家が所々に点在するような田舎なので、今はその感覚を味わうことはできませんが、街に住んでいた若い頃、夜明け前の街を、歩いていると、朝日と共に、色々な音が聞こえてきたものです。

車の走る音、長崎だと、路面電車の音。シャッターを開ける音。人の気配。街が明るさと共に、目覚めて行くのが、たまらなく好きでした。まだ、将来への不安や、人間関係や、恋愛や、悩みは沢山ありましたが、今日は何かいいことが起こる予感みたいなものが、後押ししてくれているような・・・。
この曲を聞くたびに、そんな「街が目覚める時」を思い出します。

相川理沙さんは福岡出身のSSWです。歌い始めたきっかけが、西鉄の福岡駅で出会った、ストリートミュージシャンに感銘を受け、自分もできるのではないかと曲を書き始めたそうです。そんな理由なのか、この人の曲にはいつも街の匂いがします。自分の住んでいる街へのこだわりを感じます。バックを努めるのは、これも福岡市を中心に活動している「ケイタク」とバンドですが、このギターもいい感じです。

自分の住んでいる街でみんな夢を追いかけているんでしょうね。街ですれ違う、一見、無表情に見える人達にも、そう考えると、ちょっと優しくなれるような気がします。明日も早起きしてこの曲聞いてみましょうかね。

余談ですが、地下深く閉じ込められていた人達にとって、地上の「ひかり」はどんな風に見えたのでしょう。想像もつかないぐらいの神々しさだったでしょうね。
今後の生き方が変わるぐらいの衝撃だったと思います。素晴らしい光景でした。

(ひかりby相川理沙)


2010年10月6日水曜日

常夏の島からの風~Kool Elevation

Artist:クール・エレヴェイション
Album:1th Impressions
Song:Falling

その国の風土(気候や歴史や文化)は音楽と連動としているとよく言われます。今や日本人のリゾート地といってもいいハワイも例外ではありません。

 ハワイアンのウクレレの響きに、伝統舞踊であるフラや、その背景に椰子の浜辺を連想するのは、音楽の伝統を継承するという歴史があったこそとも言えると思います。
しかし、ウクレレのことを調べて見ますと、その歴史は以外に新しく、一節にはポルトガル人が持ち込んだブラギーニャ(braguinha)という小さいサイズのギターが起源と言われ、1890年代に現在の形になったようです。それまではハワイには打楽器しかなく、弦楽器を19世紀の後半まで知らなかったとも言えるわけです。その音がまるで蚤(ノミ)が飛び跳ねるような音だったためハワイ語で「飛び跳ねる(lele)ノミ(ʻuku)」ウクレレ(ʻukulele)となったとか。いまや希少価値となったハワイのコアの木で作られるウクレレは高級品となっています。

 同じ時期にハワイに入ってきたギターも独自の発展を遂げました。それは、種類や形ではなく、独特の響き、チューニング法にあります。スラックキーギター (Slack-key guitar) という独特のチューニングです。基本は6弦からD-G-D-G-B-Dにあわせる所謂、オープンGチューニングで、3弦だけを半音下げ、D-G-D-F#-B-Dというチューニングになりますとマイナー曲用になります。この他にも、その家系に代々伝わるチューニングのしかたがあるらしく、いかに音楽というものを大事にしてきたかがわかります。
 
 また弾き方にも独特な方法も用いました。ギターを寝かせ左手に金属やガラスのバーを持ちそれをスライドさせて演奏する方法です。後にハワイアンがブームになるとアメリカ本国で専用の楽器にデザインされ、現在のスティール・ギターになったと言われています。その後、ハワイアンのみならず、カントリーやロックの分野の音楽にも用いられるようになりました。

自然を愛し、その恵みを神に感謝するという、至極シンプルな生活をしていた最後の楽園ハワイも1900年にはアメリカ領となり、1959年についに50番目の州としてハワイ州となります。その裏側には、ハワイ王朝の崩壊という悲しい歴史があり、運命に翻弄された、最後のプリンセス、美貌のカイウラニ(Kaʻiulani)の悲しい物語があるのですが、これに関して、また、何かの機会に・・・。

 そんなワケで、20世紀になるとアメリカの音楽がどっと流れ込んできて、トラディショナルなハワイの音楽もその影響を受けることとなります。その中でも、コンテンポラリー・ハワイ・ミュージックと呼ばれるAORやWest Coat Rockに影響を受けたハワイのアーティスト達が作った音楽が、最近、相次いでCD化されるようになりました。アメリカ本国の音楽とは違い、売らんが為の過剰なプロデュースがされておらず、メロディーも未完成な所はありますが、手作りの音には音楽を楽しくやるという等身大の姿勢が感じられ共感する所があります。そして何より、ライフ・スタイルを反映してなのか、音楽の中に海や波の音や、やわらい風を感じるとることができます。70〜80年代に有名となったKALAPANA、CECILIO & KAPONO、SEAWINDなどは、幾度もCD化され比較的手軽に聞くことができますが、自主制作され、それもハワイだけで限られた枚数しか発売されなかった、レコードも沢山ありました。この分野にも熱心な日本のリスナーがいて、以前から話題になっているものもありました。中には一枚、ん万円もするものがあり、堅気(かたぎ)の私達にはとても手が出せるものではありませでした。
 例をあげるとLemuria、Mackey Feary Band、The Aliis、The Krush、Billy Kaui、Country Comfort、 Lance Joe, Audy Kimura,Ray Gooliak,Richard Natto,などなど。そしてもっとも入手困難だった、Tender LeafやPhase 7そしてLuiなども最近、相次いでCD化されるようになりました。気軽にきけるのは喜ばしい限りですが、反面すべて期待した内容ではなく中には、レアというだけで・・・というのも正直あります。
 そんな中で逆に期待せずに聞いて、内容が予想以上によかったのが、このクール・エレヴェイションというバンドのアルバム「1th Impressions」でした。特に”Give This Love A Try"と"Falling"という2曲は印象深く、特に"Falling"はBossaを基調とした、個人的な好みのテイストでありまして、手前味噌ですが、我がバンド「浪夢」に通じる所がありました。
いずれにせよ、これらのバンドの音の隙間からは「常夏の島からの風」を感じることができます。背伸びをせず、飾らない、普段着の音楽がコンテンポラリー・ハワイ・ミュージックの魅力でもあります。

(残念ながら音源はありません)

(Kool Elevation”Perfect Day”のPV?この手作り感がなんともいえません。)