2012年2月14日火曜日

追悼〜Beach Boys


Artist:ビーチボーイズ
Song:Please Let Me Wonder
Album:Today!

  かれこれ25〜6年前の話になります、まだ、私も20代後半で音楽への情熱も、もっと、一途だった頃です。福岡の警固に「山兵」というレコード・ショップがありました。雑然とした小さな空間に沢山の素敵な音楽が溢れ、僕らの音楽への情熱をその空間がしっかりと受け止めてくれる特別な場所で、店長のY氏に会いに行くのが楽しみでした。

その一角にあるBeach Boysのコーナーは私の心の拠り所で、来るたびに何度もチェックを入れるのが日課になっていました。
まるで戦場で家族からの手紙が届いていないか、自分の私書箱を何度もチェックする兵士の様に。
そのコーナーにそんな思いを抱いている人達は私だけはなかったようで、そこに通い詰めていた、筋金入りのBeach Boysフリークの方々が発起人になって、1997年9月13日、福岡で記念すべき第1回のBeach Boys Convention が開催されました。
九州はもとより、岡山、大阪、東京からの参加者もいて、自己紹介もそこそこにBeach Boysのことを熱く語り合い、そして歌い、その宴は夜中まで続き、こんな人達が一体今まで何処に隠れていたんだろうと思ったものでした。
この会の冒頭に挨拶をされたのが、W氏で、それが初めての出会いでした。ここで、お会いしたI氏や後に親しくなったB氏との出会いが、その後のBeach Boysの音楽へのさらなる扉を開いてくれました。
その後、Beach Boys Convention は不定期ながらも開催され、3回目、4回目にはファンジン作りの大任を仰せつかりました。特に3回目には山下達郎さんからの手紙をいただき、今でも家宝にしております。残念なことに僕らの拠り所だった「山兵」が閉店した後は参加者もそんなに増えることはありませんでしたが、その情熱はその後も今にいたるまで続いています。

その中心的存在だったW氏が、昨日、静かに息を引き取られたとの訃報を受け取りました。

第5回からはファンジン作りで苦労していた私を見かねてか、その任を自ら引き受けて下さり、益々内容の濃い、何処へもっていっても胸をはれるような素晴らしいファンジンを作り上げて下さいました。体調を悪くされてからはI氏へと引き継がれていきましたが、すでに十冊近くになるこのファンジンは、今読んでみても、Beach Boysへの溢れんばかりの愛情が詰め込まれていて、大袈裟に言えば、私とって、Beach Boys Conventionに参加された方々と、共に、生きてきた証でもありました。
巻頭の挨拶をほとんどW氏が書かれていますが、少年の時の出会った感動をそのままずっと持ち続け、いくつになってもその心を失わない文章には、涙が自然と溢れてきます。
特に、W氏のBeach Boysの記念碑についての記事は、その後のことを予見しておられたのか・・・。涙なくしては読めません。
「Beach Boys記念碑について」その後のご報告

渡辺さん、ここにいるんでしょう。僕の名前は左の柱の中央の一番左に刻まれていますから、いつも、一緒にいますよ。これからのBrianやBeach Boysのこと、今度会うときは、沢山、お土産話をもっていきますからね。Brian,Dennis,Carlが生まれたこの場所でいつか、語り明かしましょうね。合掌。

(渡辺さんが大好きだったこの曲。心を込めて・・・。)