Artist:ドン・マックリーン
Album:American Pie
Song:Vincent
洋楽が大好きでした。でも残念ながら英語は不得意でした・・・。
なので、歌の半分、曲については、充分堪能していますが、後の半分、歌詞の部分は充分に楽しんでいるとは言えません。それでも心に訴えるものがあるのはなぜでしょう。
それは、たぶん、言葉の響きの美しさに魅了されているからだと思います。すばらしい英語の詩はことばとしての韻(いん)をきちんと踏んでいて言葉の響きとしても美しいからではないかと・・・。今回はそんな、美しい英語の歌詞を堪能していただきなくドン・マクリーンさんの”ヴィンセント”という歌を取り上げてみました。
美術に造詣がある方はお気付きかと思いますが”ヴィンセント”といえば、すぐに浮かんでくるのが、画家ヴィンセント・ファン・ゴッホです。この曲ゴッホに捧げた曲なんです。
副題がStarry, starry night.(あまたの星がそこらじゅうにまたたいているような夜?)
これは有名なゴッホのThe starry night(星月夜)という作品にインスパイアされています。
邦題 「ヴィンセント」 (ドン・マクリーン)
Starry, starry night.
星明りの 星だらけの夜
Paint your palette blue and grey,
あなたのパレットには こってりとブルーとグレーが
Look out on a summer's day,
夏の日に目をやるあなた
With eyes that know the darkness in my soul.
その眼差しは ぼくの魂のこの闇を知っている目
Shadows on the hills,
丘陵の影を
Sketch the trees and the daffodils,
木々を そして水仙の花を かたどり
Catch the breeze and the winter chills,
そよ風を そして冬の寒さを とらえる
In colors on the snowy linen land.
真白な亜麻布の地 そこを彩る色彩に
Now I understand what you tried to say to me,
ぼくは いま理解する あなたがぼくに言おうとしたことを
How you suffered for your sanity,
どんなにあなたが 自分の正気に苦しんだのか
How you tried to set them free.
その苦しみを あなたがどんなに解き放とうとしたか それがわかる
They would not listen, they did not know how.
世間は耳を貸そうとしなかった その仕方が わからなかったのだ
Perhaps they'll listen now.
たぶん 今ならみんな 耳を傾けることだろう
*注1(2行3行のgreyとday、6行7行ではdaffodilsとchillsそして最後ではhowとnowとみごとな
韻をふんでいます、その上、詩自体にすごく説得力があります。)
Starry, starry night.
星明りの 星だらけの夜
Flaming flowers that brightly blaze,
明るく光る 燃え立つような花々
Swirling clouds in violet haze,
ヴァイオレットに霞む 渦巻く雲
Reflect in Vincent's eyes of China blue.
それらが陶磁器のようなヴィンセントの青い瞳に映ると
Colors changing hue,
色彩が 色合いを変え
Morning field of amber grain,
朝の野の穀物は 琥珀色
Weathered faces lined in pain,
苦痛に刻まれた 渇いた表情も
Are soothed beneath the artist's loving hand.
画家の愛のタッチで やわらげられる
*注2(ここも2行3行のblazeとhaze、6行7行のgrainとpainが前段と対をなしています。
さらに豊かな言葉がゴッホの色彩をイメージさせます。)
Now I understand what you tried to say to me,
いま ぼくにはわかる あなたが僕に言おうとしたことが
How you suffered for your sanity,
あなたが どんなにまっとうな自分の心に苦しんだのか
How you tried to set them free.
どんなにその痛みを解き放とうとしたのか それがわかる
They would not listen, they did not know how.
世間は耳を貸そうとしなかった そのやり方がわからなかった
Perhaps they'll listen now.
きっと いまならみんな 耳傾けることだろう
For they could not love you,
世間の人には あなたのことが愛せなかったけれど
But still your love was true.
でも、あなたの愛は それでも本心だった
And when no hope was left in sight
だから、視界に希望がまったく残っていなくなったとき
On that starry, starry night,
あの星明りの 星ばかりの夜に
You took your life, as lovers often do.
あなたは自分の命を込めた 恋人たちがよくするように
But I could have told you, Vincent,
だけど ヴィンセント 僕ならあなたに言えたと思う
This world was never meant for one
この世界はけっしてあなた向きのものじゃなかったと
As beautiful as you.
あなたのような美しい人のための世界じゃなかったのだと
Starry, starry night.
星明りの 星だらけの夜
Portraits hung in empty halls,
がらんとした画廊に 肖像画がかかっている
Frameless head on nameless walls,
体のない顔が 名前のない壁で
With eyes that watch the world and can't forget.
世界を見つめた目 それを忘れていない目をして
Like the strangers that you've met,
あなたが会った異邦の人々のように
The ragged men in the ragged clothes,
ボロをまとった みすぼらしい男たち
The silver thorn of bloody rose,
血のような薔薇の銀(しろがね)の棘
Lie crushed and broken on the virgin snow.
潰され 折られ 処女雪の上に斃れて
注3(上段も同じパターンで韻をふんでいます探してみてください)
Now I think I know what you tried to say to me,
ぼくは いま考えている あなたが僕に言おうとしたことを
How you suffered for your sanity,
あなたがどれだけ自分の正気に苦しみ
How you tried to set them free.
その苦しみをどんなにか解き放とうとしたのかを
They would not listen, they're not listening still.
人々は耳を貸そうとしなかった 今でもみんな 聞いちゃいない
Perhaps they never will.
たぶん いつまでもそうだろう
注4(最後もみごとに韻をふんでいます。こうして歌詞の美しさがわかるとさらにこの歌もつ深さを堪能できると思います。)
今夜はめちゃくちゃ幸せです。
返信削除だって、もう一度聴きたいと思っていたこの歌が聴けたから・・・
前に一度、FMでこの歌が流れてきたとき、ゴッホの星空の絵が浮かび、涙がいっぱい溢れてきたのを思い出しました。
数年前、札幌の美術館でゴッホ展をやったとき、3度も観に行きました。
本当にこの歌のような気持ちだったんです。
歌詞がわかって、嬉しい。
ありがとうね、ムーンライトさん(;;)
のっぽのサリーさん、コメントありがとうございました。以前からこの曲が大好きで、私もかつて上野の国立美術館(ニューヨーク近代美術館展)までこの絵を見に行ったことがあります。憧れていたゴッホの絵を前にして、しばらくこの絵の前で立ち尽くしてしまいました。その感動がこの歌詞の中にはあります。同じ気持ちでこの曲を聞いておられた方がいて、感激しています。
返信削除本当に何度聴いても、泣けちゃう歌ですね・・・
返信削除自分の知ってる中では、一番美しい歌ではないかと思います。
こうして歌詞を合わせてみると、素晴らしさが倍増しますね。
こんなに自分が思っていたことと一致した歌詞は滅多にないです。
洋楽は歌詞が聞き取れないことが多いので、間違って解釈してた歌詞がいっぱいあるのですが、それもまた、洋楽の面白さでしょうか?
もちろん邦楽も好きですが、メロディだけ心に乗せたいときに、歌詞が邪魔になってしまうときもあるんです。
だから、普段仕事をするときや寝るときは洋楽を主に聴いています。
浪夢さんの曲も聴きましたよ~(^o^)
Half Day SailやNIKEがいいなあって思いました。(^-^)
そうですね。歌詞の意味を知りたいと思い始めたのは、この歳になってからですね。広く浅くより、気に入った1曲をもっと深く知りたいと思うようになってきました。やっぱり音楽はいいです。聞けば聞くほど色々なことを教えてくれますよね。
返信削除「浪夢」聞いて頂き、感謝、感激です。相棒が歌詞を私が曲を主に担当していますが,Half Day SailやNIKEがお好みの所をみると、AOR系のポップスがお好きなんですね。音楽を聞くのもいいですが、演奏するのはもっと楽しいですね。
偶然行き着きました。素晴らしいブログですね。
返信削除この曲は本当にいい曲で、メロディも歌詞の韻もギターもたまりません。
たまたま知ったのですが、この曲は隠れたヒットではなく、英国では大ヒットになり、72年に2週連続No.1になっています。T.Rexを蹴落として、Gary GlitterにNo.1を譲っています。グラムロックの熱狂の中で、百年前の芸術家ゴッホを讃えた歌がNo.1なんて、英国人も奥が深いですねえ。
星月夜については、ゴッホとゴーギャンの関係を知るともっと理解が深まります。
孤独の旅路 さん
返信削除沢山のコメントありがとうございます。こうやって感想をいただけるのがプログを書いていて一番嬉しいです。UKでNo.1になっていたんですね。メロディーも歌詞もとても美しい曲です。洋楽は音楽的なことが先行するのでなかなか、歌詞を理解することが難しいですが、こんな曲を聞くと、半分は楽しんでなかったんだ。つくづく思います。これからも宜しくお願いします。
お久しぶりです。(^o^)/
返信削除先日、ドン・マクリーンのベスト盤を買いましたよー。
輸入物だったので、歌詞カードがないのが残念でしたが、
ここの歌詞をコピーさせていただきました。
何度聴いても目頭が熱くなる歌ですよね。
良い曲がいっぱいで、感激しています。
今でもお元気で歌われているのでしょうか?
訃報が多くて悲しいので、長生きして欲しいですね。
いつもブログに拍手してくださるの、Moonlightさんですか?ありがとう(^-^)
お久しぶりです。FBの方に投稿するようになって、ブログの方が休止状態になっております。(よろしければFBの方に参加していただけるとありがたいです。浪夢で検索していただければ)誠に申し訳ありません。輸入盤には歌詞が付いていないためこうやって活用していただくと嬉しいですね。
返信削除ブログ時々拝見させていただいてます。読書家なんですね。まとまった時間がないので、読みたい本、山積みになっています(笑)