2010年1月20日水曜日

サウダージ~Stephen Bishop

Artist:スティーヴン・ビショップ
Album:Saudade
Song1:Un Baile Del Corazon
Song2:Save It For A Rainy Day









サウダージ~よくボサ・ノバのアルバムで耳にする言葉です。ものブログによると、「サウダージ(Saudade)とは、郷愁、憧憬、思慕、切なさ、などの意味合いを持ち、他の言語では一つの単語で言い表しづらい複雑なニュアンスを持つ。」とあります。さらに、「単なる郷愁(nostalgie、ノスタルジー)でなく、温かい家庭や両親に守られ、無邪気に楽しい日々を過ごせた過去の自分への郷愁や、大人に成長した事でもう得られない懐かしい感情を意味する言葉と言われる。だが、それ以外にも、追い求めても叶わぬもの、いわゆる『憧れ』といったニュアンスも含んでおり、簡単に説明することはできない。ポルトガルに生まれた民俗歌謡のファド (Fado) に歌われる感情表現の主要なものである」とあります。ボサノヴァを理解するにはこの”サウダージ”という、説明しにくい感情が重要なようで、ちょうど、日本の演歌を外国人にどう説明するかに似ているような気がします。
ポルトガルに生まれた民俗歌謡のファド (Fado) に歌われたこのサウダージという感情は、ボルトガル語圏のブラジルにそのまま根付いたものと考えられます。ボサノヴァの第1号は、ブラジルの大歌手であったエリゼッチ・カルドーゾが歌い、まだ新進気鋭であったジョアン・ジルベルトがバックでヴィオラゥン(ギター)を弾いたChega de Saudade(シェガ・ヂ・サウダージ、日本題:想いあふれて)と言われていますが、この題名にもサウダージという言葉が使われていて、ボサノヴァという音楽を理解するには”コラソン(心、魂)と同様、大事なキーワードだと思っています。このあたりの、ボサノヴァ誕生に興味のある方はぜひ、ルイ カストロ著「ボサノヴァの歴史 」を御一読を。

サウダージ(Saudade)とタイトルをあえて付けた、Stephen Bishopのアルバムは最近はやりのセルフ・カヴァーアルバムです。Stephen Bishopは1976年から活躍したAOR系のSSWで、メロディー・メイカーとしても個人的にとても大好きでした。このアルバムはジャズやポップスを含め沢山のミュージシャンを魅了し続けた、このボサノヴァという音楽に対する尊敬と愛情にあふれています。特にSong1:”Un Baile Del Corazon (A Dance Of The Heart)”という曲のメロディーやギターはこの”郷愁”や”望郷”を音で感じることができます。ちなみにギター&プロデュースはブラジルの名ギタリストOscar Castro-Neves(オスカー・カストロ・ネヴィス)が担当。このひと調べてみると、創生期から~現在までボサノヴァの生き証人みたいな人なんです。Song2はStephen Bishopを代表する、その当時にヒットした”Save It For A Rainy Day”。ここで控えめなソロを弾いているのが誰あろうあのスローハンド”エリック・クラプトン”さんです。このアルバムは全曲良くて、是非オススメしたいのですが、米国の大手スーパーチェーン(ジャスコみたいなもの?)独自に作ったTargetというレーベルからリリースため、国内での入手が難しく、今のところ、USAのamazonからの入手が比較的簡単なようです。
(Save It For A Rainy Day by Stephen Bishop 間奏のソロはクラプトンさんです。)

2 件のコメント:

  1. 「Save It For A Rainy Day」のソロパートで登場するクラプトンのギターに職人の極みを感じます。しかも、最後のフェードアウト部分で泣かせてくれるんですよね・・・「兄貴!ここは一つ渋いヤツを弾いちゃってん!」
    「よかばい!」とばかりに、クラプトンはなれないボサのコード進行に消えながら主張するところが、ビショプとクラプトンの信頼関係が感じ取れます・・・。

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  2. さすがキタリストならではのするどい心理分析。勉強になりました。

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