Artist:吉田美奈子
Album:扉の冬
Song:扉の冬
ジャケットがちょっとザラザラつく感じのレコードが好きでした、例えば、キャロル・キングの「Tapestry 」とか「Music」。エルトン・ジョンのファーストの「Elton John」,CS&Nの「 Crosby、Stills&Nash」、ニール・ヤングの「Harvest」、そして邦盤なら荒井由美の「ひこうき雲」と同じ時期にリリースされたこのアルバムです。
「エンボス加工」というらしいのですが、見開きジャケのため、手に取るとちょっと豪華な気分がして、あの独特の手触りは絶対CDでは味わえない感覚です。たぶん制作費用がそれだけかかるので、レコード会社としては、「社運をかけて」ってところもあったのでしょう。
それに輪をかけて、「顔の陰影ジャケ」も好きでした。特に女性物。ローラ・ニーロの「 Eli Andthe Thirteen Confession」(イーライと13番目の懺悔)やジョニ・ミッチェルの「Blue」など。
「エンボス加工」でその上、女性の「顔の陰影ジャケ」という2つの重要な要素を兼ね備えていたわけですから、避けて通れるはずがありませんでした。
1973年、そのころ新鋭のレコードレーベルだったショウボートからのリリースで、弱冠20才のデビューだったようで、すでにこのヴォーカルの表現力を身につけていたのですから、オドロキです。最初に聞いたのは、確か高2ぐらいでしょう、キャラメル・ママ(細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫)が全面バックアップしていて、荒井由美の「ひこうき雲」と同じメンツでしたが、Laura Nyroを意識した、その演奏スタイルや音響的な響きやヴォーカルの雰囲気など、こちらの方がはるかに自分の好み合っていました。演奏についていえば、細野さんのベースがすごく良くて、プレイヤーとしても、超一流だったことがよくわかります。
この「扉の冬」という曲が今の季節にぴったりなので選びましたが、「かびん」や「週末」、「ねこ」など、のびやかなヴォーカルとマッスルショールズのミュージシャン達にひけをとらないくらいの絶妙なバッキングは、その当時の日本では、最高水準のクオリティだったと思います。三十余年たっても時々聞きたくなるアルバムはそうざらにはありません。その後のRCAレーベル時代の「Flapper」あたりにくらべるとポップス度は劣るかもしれませんが、その当時の、吉田美奈子というミュージシャンの素顔に近いのはこのアルバムだと思います。
その後、ずっとこの人を聞き続けてきましたが、2004年のDVD「within ~Vision3」もヴォーカリストとしての力量を遺憾なく発揮した名盤(CD化されていません)で是非、すべての人に見て、聞いてもらいたい作品です。
(扉の冬)
(星の海)
長崎の浦上天主堂をイメージするのは何故でしょう?きっと、Moonlight Surfer さんからそのコンサートの話をよく聞いてたから・・・。それにしてもオリジナルの「星の海」はドラマチックなアレンジですが、このピアノバージョンも美奈子様の歌唱力が引き立ちますな・・・。
返信削除1974年、デビューしてたての頃のコンサートだったと思います。カトリックセンターという小さなホールでした。自分のことを「ボク」と呼んでいたことと、Laura Nyroの”December's Boudoir”を「これ難しい曲だからうまくやれるといいんだけど・・」と前置きして、歌ったのが忘れられません。(かなり影響を受けていたようです。)”星の海”はTVで放映されてヴァージョンのようですが、「within ~Vision3」の時の雰囲気ですので、同じ頃に収録されていたと思われます。やはり、圧倒的な歌唱力ですね。
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