2010年7月25日日曜日

オマージュ~Bruce & Terry,山下達郎

Artist:ブルース&テリー
Album:The Best Of Bruce & Terry
Song:Don't Run Away






Artist:山下達郎
Album:BIG WAVE
Song:Only With You








オマージュとはフランス語で、尊敬(リスペクト)や敬意のこと。芸術などにおいては、尊敬する作家や作品に影響をうけて、似たような作品を創作すること、とあります。
「スターウォーズ」(エピソードIV)の冒頭のC3-POとR2D2が砂漠をトボトボと歩いてくるシーンは黒沢明の隠し砦の三悪人のふたりの農民、太平(千秋実)と又七(藤原釜足)のコンビをモデルにしているというのは有名な話で、これなどは典型的なオマージュだと思います。
元の作品に「敬意」を払うというところが、バクリやコピーとは違う所です。

一方、Beach Boysファンの間で論議を醸したのが、今や国民的アイドルのSMAPの1998年にリリースされたEP「la fesyta」。
この表と裏ジャケはBeach Boysの名盤「Pet Sounds」に酷似しており、Beach Boysに敬意を払ってというには、その内容があまりにも隔たりがあり、パクリ以外の何者ではないと、非難されていました。(Smap ファンには申しわけありませんが、スタッフの意向であったとすれ、元の作品の重みを理解する必要はあったと思います。)
Beach Boysフリークの村上春樹氏はこのSmapのEPジャケについて、「遊びでやったことだから、そんなに目くじらたてなくても」という、Smapファンの女の子(?)の投書に対して、「オマージュ」と「パクリ」の違いを理論的にそして、確固たる信念をもって、述べています。Beach Boysファンとしては「よくぞ言ってくれました。」と涙が出てくるぐらい感動しました。「敬意」を払うというのは、その作品がまず好きであり、そしてよく理解することが必要なんです。詳しくはこのサイトを是非ご一読を→http://ameblo.jp/krazykoolkat/entry-10457478409.html

毎週、日曜の午後楽しみにしている達郎氏のラジオ番組「サンデー・ソング・ブック」のテーマ曲でもある”Only With You”は、Beach Boys に加入する前のブルース・ジョンストン(2010年5月11日火曜日ディズニー・ガール~Bruce Johnston参照)と女優でもあったドリス・デイの息子テリー・メルチャーのコンビ、ブルース&テリーの”Don't Run Away”という曲に対するオマージュです。今でこそCD化されいつでも聞けるようにようになりましたが、ブルース&テリーは長い間、CD化されることなく、また、この”Don't Run Away”は特にシングルのみリリースだったため、入手することがとても難しく、その曲の美しさも相まって”幻の曲”と言われていました。(ほんとにブルースはいい曲を書きます。そして、このシングルを手に入れるのは、確かに苦労しました。)
達郎氏もその当時、シングルを持っていなかったため、何度か聞いて、耳に深く残っていたこの曲のメロディーや雰囲気を、思いだしながら、この”Only With You”を作ったと言われています。二つを聞き比べると「なるほど」と思いますが、聞きようによっては、別の曲とも、とれなくはありません。
あえてコピーではなく、原曲のコーラスの拡がりや雰囲気を壊さず、達郎氏らしいアレンジを加えているところに、曲を使わせてもらいましたという「奥ゆかしさ」さえ感じます。オマージュとはそういうことなんです。
まあ、講釈はこれぐらいにして、ともかく2曲を聞き比べてみて下さい。

("Don't Run Away"by Bruce & Terry)

("Only With You" by 山下達郎)

2 件のコメント:

  1. Moonlight surferさんの文を読んでいると、自然と山下達郎さんの声に。
    これもオマージュかな?!
    estrelas kiss

    返信削除
  2. estrelas kissさん
    特に意識して書いてはないんですが、ちょっと理屈ぽかったですか?
    でも達郎氏にしても村上氏にしてもプロとしての意識が高い所は尊敬しています。そして両者ともBeach Boysが好きで、レコードコレクターであるところも、なんか親近感を感じます。

    返信削除