2010年8月9日月曜日

歌霊(うただま)〜夏川りみ、Teresa Bright

Artist:夏川りみ
Album:おきなわうた
Song:童神






Artist:Teresa Bright
Album:Hawaiinawa
Song:Kamalani








童神(わらびがみ)という曲があります。沖縄を代表する歌手・古謝(こじゃ)美佐子さん(ネーネーズのリーダー)が作詞し、2000年にリリースされた自身のソロ・アルバム「天かける橋」に収録されていました。沖縄では物心がつくまでは、幼児は純白で何物にも汚されていない、神の魂に近い心を持つということから童神(わらびがみ)と呼ばれていました。初孫の誕生を期に書かれた曲ですが、ウチナーグチ(沖縄の言葉)で語られる詞には、胸を深く打たれます。

2002年に夏川りみさんがこの曲をヤマトグチ(日本語)ヴァージョンでカヴァーし、第45回の日本レコード大賞金賞を受賞しましたが、この曲はウチナーグチ(沖縄の言葉)ヴァージョンで歌われた方が何故かしっくりくるような気がします。と思っていたら、夏川さんのアルバム「おきなわうた」に原点である沖縄の言葉で歌ったヴァージョンが収録されてました。
ひとつ、ひとつの言葉の意味を訳詞を見ながら聞いていると、胸にじ〜んと浸みてきます。感動的な歌です。
[訳詞]
天の恵み 受けてこの地球に 生まれたる我が子
私こそがお守りして育てる 愛し私の子
泣くんじゃないよ お天道さんの光受けて
どうかよい子に どうか何事もなく育ってね

夏が来れば 涼風(すずかぜ)を送り
冬がくれば 懐に抱く 愛しい我が子
泣くんじゃないよ お月さんの光受けて
どうかよい子に 大人になってね

雨風の吹き渡る この世間 身を盾にして守るから
花を咲かせてね 愛しい我が子
泣くんじゃないよ 天の光受けて
どうか良い子に どうか立派な人になってね

そしてこの曲は海を渡り、ハワイの歌姫、テレサ・ブライトにカヴァーされました。もちろんこんどはハワイ語で・・・。
意味はハワイ語に詳しい、JST(ジャスト)のY氏に伺いたいのですが、たぶんこの訳詞と同じ内容だと思います。このヴァージョンも素晴らしい出来映えです。

これらの歌を聞いていたら、言霊(ことだま)という言葉を思いだしました。言葉に宿ると信じられた霊的な力という意味ですが、平たく言えば、いい言葉を発していると、その言葉がいい方向に向かわせてくれ、悪い言葉を発すれば、悪い方へ物事が進んでいくということらしいです。

言霊があるのなら歌霊(うただま)もあるはずです。
(ひっくりかえすと霊歌(れいか):スピリチュアル・ソングでもあります。)
歌に宿る力、それは「音楽のチカラ」でもあるんですね。国境や人種やイデオロギーの垣根を越え、人、本来のもっていた無垢さ、純粋さを取り戻せるそんな力を与えてくれる歌たち。

この曲は胎教にいいと評判になったそうです。生まれ来る我が子を愛しみ、親としての自覚に目覚めていく、それは誰に教えられたわけではなく、自然に、本来、備わっていた、人としての感情を呼び覚ますからなのかもしれません。

この曲が心に響くのなら、子供を置き去りにして、死なせてしまうような悲しい事件は絶対に起こらないことを信じたい、今日この頃です。

(古謝(こじゃ)美佐子さんのオリジナル・ヴァージョン)

(古謝美佐子さんと夏川りみさんによるデュオでどうぞ)

2 件のコメント:

  1. どちらも、それぞれのさざなみと広がりゆく空と海までもが見えます。
    悲しい思い出のあるそれぞれの地で、この子守唄が歌われていることに心を馳せます。海の深さと母やマリアが重なります。

    どこまでも続く空と海と天と地球が
    愛しいこの子をつつんでる
    この子を抱くわたしも一緒に
    たとえ腕からこぼれおちてしまいそうなときも
    守っていてくれる。
    estrelas kiss

    神童かぁ、なるほどなぁ。
    今年の夏は夏川りみを歌いながら西弄東走しよう
    太平洋のようなこころになれるかも!

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  2. estrelas kiss さん
    繰り返し、聞き込むほど、心に染みこんでくる曲ですね。
    国の思惑で、翻弄されてきた二つの島ですが、こんなに素敵な歌を残してくれます。それは、自然に対する祈りにも似た、畏敬の念や、感謝。家族に対する深い愛情の賜物。私達は何処かにそれらを忘れてきたのかもしれませんね。沢山の人にこの歌が届くように、是非、歌い続けて下さい。

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