2011年4月6日水曜日

No Nuces~John Hall

Artist:ジョン・ホール
Album:Power
Song:Power

 復興に向けての槌音が響いてきました。まだ微かですが、やがて大きな響きとなって希望の光となることを心から祈っています。今回の震災、さらに問題を複雑にしているのが、原発です。日本の繁栄を謳歌するばかりで今まで、エネルギーのことを自分の事として考えていなかったことに反省しております。当面は今ある汚染問題を一刻でも早く終息させることが、日本国民すべての願いですが、今度のことでエネルギーに関する今後のことをどうしていくべきか、我々も考えていかなければならないと思っています。
 世界一安全だと言われていた日本の原発も自然の猛威の前では無力でした。そしてなにより核エネルギーが恐ろしいのは、ある時点から人間がコントロールできなくなるということです。今回のことは確かに天災という予期できないことで起こった事故ですが、その後の対策や処理に関しては一歩間違うと人災と言われかねない状態になっています。今や日本だけの問題ではなくなってきています。風や海には国境はありません。食物連鎖の中で我々は生きているということを改めて思い返してみるとき、この問題に無関係でいることはできないのです。むろん、最前線で放射線の脅威にさらされながら命がけで作業されている人がいることを決して忘れてはなりませんがコントロール不能に陥った原発がどんなものなのかをしっかりと目に焼き付けておく必要があります。

 アメリカは過去に原発の脅威を体験しています。1979年におこった、スリーマイル島の原発事故です。最終的に発表された見解は、「発電所から10マイル以内に住む住民の平均被曝量は8ミリレムであり、個人単位でも100ミリレムを超える者はいない。8ミリレムは胸部X線検査とほぼ同じで、100ミリレムは米国民が1年で受ける平均自然放射線量のおよそ三分の一だ」ということで終わってしまいましたが、それでも見えない放射線に対する脅威はその後、反原発の運動のうねりとなっていきました。そしてミュージシャンの中でも「MUSE (Musicians United for Safe Energy) = 安全なエネルギーを求めるミュージシャン連合」がグラハム・ナッシュやジャクソン・ブラウンの呼びかけで結成され、 9月には 「No Nukes」 と題された 5日間のコンサートが行われました。私も、その頃このLiveアルバムを聞いてはいましたが、その主旨を本気で考えていたとは言えませんでした。
オーリアンズに在籍していたJohn HallはこのMUSEの中心的な役割をはたし、この「Power」という曲で私達に問いかけていました。ほんとうに私達にとって必要なエネルギーは何なのかを

「Power」
僕に少しだけ太陽の力をください
絶え間ない滝の流れの力をください
土に帰る生きとし生けるものの魂を分けてください
僕に少しだけ休みなく吹き続ける風の力をください
燃え上がる勇気のような木の炎をください
でもどうか原子力の毒の力は捨て去ってはくださいませんか

誰だって何らかの力を必要としています
暗闇や寒い風から身を守るために
それが売り買いされるときは
誰かがそれを制御する方法を探すことになるのでしょう

でも僕は知ってます
生き物が危機に陥っていることを
この目の前の君たちと僕らの子孫
得るものが多ければ失うことも多いもの
僕たちは誰だって選択をしなければならないのです

僕に少しだけ太陽の力をください
絶え間ない滝の流れの力をください
土に帰る生きとし生けるものの魂をください
僕に少しだけ休みなく吹き続ける風の力をください
燃え上がる勇気のような木の炎をください
でもどうか原子力の毒の力は捨て去ってはくださいませんか

僕に少しだけ太陽の力をください
絶え間ない滝の流れの力をください
土に帰る生きとし生けるものの魂をください
僕に少しだけ休みなく吹き続ける風の力をください
燃え上がる勇気のような木の炎をください
でもどうか原子力の毒の力は捨て去ってはくださいませんか

どうか私たちのためにお願いします
原子力の毒の力は捨て去ってはくださいませんか

どうか私たちのためにお願いします
原子力の毒の力は捨て去ってはくださいませんか


この歌詞は私達に、静に語りかけています。
「原発と共存して生きていく覚悟はあなたにありますか?」と。
YesかNoかそれとも第三の選択肢があるのか、一人一人が答えを出さなければいけない所まできています。

(”Power" by John Hall)

("no nukes" 我々の問題として・・・)

2 件のコメント:

  1. のっぽのサリー2012年4月23日 9:13

    本当に、核は負の遺産しか生み出してきませんでした。
    そして、私たちはこれからも莫大な核のごみと何万年も付き合っていかなくてはいけません。(でも一人が付き合うのはたった数十年です…)
    気が遠くなる罪の大きさです。
    なぜもっと早くに、せめて、スリーマイルやチェルノブイリのときに、原発を見直さなかったか、残念でなりません。そして、今もなお、弱い国に原発を売り込もうとしている企業、どうかしていますよ。
    人間としての智恵や良心は、消えうせたのでしょうか?

    Moonlight Surferさんがこれを書いていた頃、私も原発関係の本を色々読んでいました。
    先日ブログにも書いたところです。
    私たちはもっと多くを知り、国民全員で考えていかなくちゃいけませんよね。
    良い曲ですね。ありがとう。

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  2. のっぽのサリーさん
    「せめて、スリーマイルやチェルノブイリのときに、原発を見直さなかったか」おっしゃるとおりです。自然の脅威も同じですが、人間がコントロールできないものを安全というのは間違っていると誰でも思いますよね。もう一度原点に立ち返ってことが必要だと思います。
    原発がなければ、何をがまんしなければならないのか、一人一人が答えを出す時期に来ています。

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