2010年3月9日に「音のコラム:コーラスの変遷」を特集しました。
今回は久しぶりに「音のコラム」の第二弾です。
最近お気に入りのスタンダード・ナンバーがあります、”I Wish You Love"という曲なんですが、知名度としてはいまひとつかもしれません。邦題は『残されし恋には』。1946年にフランスの作曲家レオ・ショーリアックと作詞家シャルル・トレネが書いたシャンソン「Que reste-t-il de nos amours?(僕たちの恋には、何が残っただろう?)」がオリジナルです。1955年アルバート・ビーチが英詩を付け英語圏では”I Wish You Love”となりました。最初に英語でレコード化したのはキーリー・スミスという人。なんといっても、ナット・キング・コールがこの曲を取りあげ有名になりました。
歌うたいにとっては、一度はチャレンジしたい曲なんでしょうか、そのカヴァーはかなりの数にのぼります。有名処の歌手が必ずと言っていいほど歌っております。
こんなヴァース(歌の導入部)から始まります。
Goodbye, no use leading with our chins
This is where our story ends
Never lovers, ever friends
さよなら、もうこれ以上何を話しても無駄だね・・・。
これで、僕らの恋物語を終わりにしよう。
これからは恋人ではなく、ずっと友達だ・・・。
Goodby, let our hearts call it a day
But before you walk away
I sincerely want to say
さようなら、この日を僕らの「さよなら記念日」と呼ぼう。
でも、君が行ってしまう前に、
心をこめて、君に伝えておきたいことがあるんだ・・・。
マイナーキーから始まるちょっともの悲しいメロディー、二人の恋はすでに終わってしまった。シャンソンの香りがします。そしていよいよ、本編へ
I wish you blue birds in the spring
To give your heart a song to sing
And then a kiss, but more than this
I wish you love
春になったら、青い鳥が君の心に響く歌を歌って、
そしてキスしてくれたらいいな・・・。
でも、それよりも何よりも、
また、君には恋をしてほしい。
And in July a lemonade
To cool you in some leafy glade
I wish you health and more than wealth
I wish you love
7月には、青々と茂った緑の中で飲むレモネードが、
君を涼しくしてくれるといいな。
そしてもちろん、君の健康も富も願っているけど、
でも、それよりも何よりも、
また、誰かに恋をしてほしい。
My breaking heart and I agree
That you and I could never be
So with my best my very best
I set you free
君と僕がこれ以上うまくやっていけないことは、
このフラれた僕が1番よくわかってる。
だからこそ、全力で、精一杯の気持ちをこめて、
僕は君を自由にしてあげたい。
I wish you shelter from the storm
A cozy fire to keep you warm
But most of all when snowflakes fall
I wish you love
君が、いつも嵐などから守られて、そして
心地いい暖炉のぬくもりが、君をあたためてくれるといいな。
でも、それよりも何よりも、
雪が舞い降りてくるようなこんな日には、
また、誰かを愛してほしい。
終わってしまった恋だけど、君には幸せになってほしい、その気持ちを今後めぐっていく季節に擬えて、彼女(彼)に贈っています。まさに大人のラブソングですね。そんなわけで、この”I Wish You Love"を色々な歌い手で聞き比べてみたいと思います。あなたのお気に入りは,どのヴァージョンでしょうか。
1.ナット・キング・コール
なんといってもこの人のヴァージョンが基本になっています。探しましたがLive versionしかありません。ヴァース(歌の導入部)から歌ってます。
2,フランク・シナトラ
ヴェルベット・ヴォイスと呼ばれるシナトラのヴァージョン。思い切りスイングしております。
3.ジュデイ・ガーランド
女性歌手の代表といえば、この人。しっとりと歌い上げます。ヴァースはなし。
さすが、ミュージカルスター。うまいなあ。
4.ロッド・スチュワート
最近はスタンダードナンバーの歌い手になっているロッドさん。渋いヴァーカル。いい年のとり方してます。ヴァースから歌ってます。
5.小野リサ
最近の歌い手さんのヴァージョンでは一番のお気に入り。癒されます。ヴァースなし。
6.レイチェル・ヤマガタ
日系3世の父を持つ、シンガーソングライター。映画「Prime」の挿入歌として歌われ話題になりました。音の行間のあるいまどきのアレンジです。
7.クリッシー・ハインド(Chrissie Hynde)
イギリスのロックグループ、プリテンダーズのリードヴォーカルだった人。
比較的、原曲に忠実に歌っているところに好感がもてます。
いかがですか、お気に入りのヴァージョンがありましたでしょうか。
この他、ディーン・マーチン、アン・サリー、チャカ・カーン、サム・クック、ローズマリー・クルーニー、ブロッサム・デューリーなどのヴァージョンもあります。色々な歌い方、色々なアレンジで楽しむ。これも、スタンダード・ナンバーならではの楽しみ方ですね。
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