Artist:アート・ガーファンクル
Album:愛への旅立ち
Song:Disney Girls(1957)
「無人島に持って行きたい10曲」など特集されることがありますが、私が選ぶとすれば、この曲は絶対に外せません。コーラスもメロディも歌詞もどれをとっても、文句のつけようがありません。手前味噌ですが我がバンドの、音楽をやる上でのある目標というか、理想型でもあります。懐古趣味といわれようが、所詮ブライアンの作品には及ばないと言われようが、いいんです。人生の節目(結婚や子供の誕生の際)には側にいて、ある時はなぐさめ、ある時は勇気づけてくれた1曲。いつも寄り添っていてくれる、私にはとても大切な曲でもあります。
1970年代になると、Beach Boysの音楽的支柱であったブライアン・ウィルソンは精神的に不安定となり、隠遁生活に入ります。バンドも低迷の状態にありました。ブライアンの穴を埋めるべく参加したブルース・ジョンストンはこのころからソング・ライターとしての才能を発揮しはじめ、1971年にリリースされたアルバム「Surf's Up」で、この曲をBeach Boys名義で発表しています。時は、ベトナム戦争のまっただ中、反戦運動の波が全米をおおっていた頃、わざわざ、(1957)と副題をつけ、1957年の古き良きアメリカを歌った歌詞は、アルバム全体のトーンからすると、懐古的で感傷的で、綿飴みたいな曲だったかもしれません。しかし、”ディズニー・ガール”という言葉が醸し出す魔法が、まるでファンタジーの世界のようなブルースの幼なかったその時代の風景を私達に届けてくれました。
この曲が大のお気に入りとなり、一時取り憑かれたよう”ディズニー・ガール”のカヴァーを蒐集していた時期がありました。(詳細を知りたいという方はご連絡を・・・)
ビーチ・ボーイズ・フリークとしても有名な村上春樹氏は「村上ソングス」の中でこの曲を取り上げ、こう述べています。
「50年代のアメリカの小さな町の風景。人々は教会に通い、子供たちはディズニー映画に夢中で、自動車はあくまでも大きく、コンバーチブルの屋根をあけるとそこには満天の星があった。ラジオからはパティー・ペイジの「オールド・ケープ・コッド」(*)が流れている。それはもう幻想の世界だ。そんなものはどこにも存在しない。しかし彼がみつけた恋人は、彼をもう一度そんな世界に連れ戻してくれる。」
そしてさらに、こう続けています。
「この曲が作られたのが1968年であることを思い起こしていただきたい。暴動とヴェトナム戦争とドラッグ文化のまっただ中の時代である。そう、人にはつねにおとぎ話が必要なのだ。リアリティーなんて、いつだってつまらないものなのだから」
(*)ブログ主人注:ケープ・コッドはマサチューセッツ州東端にのびる岬で有名な避暑地。都会から家族をつれて、ここで夏休みを過ごしたことでしょう、子供達にとっても夢のよう日々だったと思います。私達が子供の頃、憧れたアメリカの映画やドラマの今は失われてしまった風景がそこにはあったはずです。
Disney Girls(1957) Words & Music by Bruce Johnston
空が晴れ上がり、涙も乾き
今では君の微笑みが見える
暗闇が去り、柔らかい光が満ちて
ものごとの姿が変わっていく
やっとのことで言葉がうまく韻を踏み
ああ、なんて素晴らしいんだ
さあ、君の両手を口づけと
キャンディーバーでいっぱいにしよう
リアティーなんてどうでもいいさ
そんなのつまらないじゃないか
おとぎ話とディーズニー・ガール
僕はそんな世界に帰っていこう
バティー・ペイジと夏の日々
懐かしのケープ・コッド
うちのガレージでワインを作った 幸福な思い出
静かな木陰で飲んだレモネード
なんだか心のねじが緩んでいくようだ
小さな町と、近所の女の子達
そんな世界に僕は連れ戻される
オープンカーと澄んだ星空
僕はそれらを長く失っていた
でも、おとぎ話とディーズニー・ガール
僕はそんな世界に帰っていこう
さあ起きて・・・・・・やあ、リック、デイブ
やあ、父さん・・・・おはよう、母さん
さあ起きて・・・・・・目を覚まして僕を見てくれ
一人の女の子は僕をみつけ、
彼女にすっかり恋をしている
なにしろ素敵な女の子なんだ
だって彼女が好きなのは
教会と、ビンゴのチャンス、昔風のダンスなんだもの
これまで ずっと僕は君を夢見ながら
長い夜を過ごしてきた
僕が見失っていた温もり
そして心から求めていたもの
そんなものがやっと実現しそうだ
僕は捧げるべき愛情を見つけ
生きていくべき場所をみつけた
僕はもうどこにもいかないだろう
永遠に連れ添う奥さんを手に入れ
僕は心静かな生活を手にするだろう
そのうちに子供も作ろう
夜はまだ早いし 枕投げをして
君の優しい笑い声を聞くんだ
おとぎ話とディーズニー・ガール
僕はそんな世界に帰っていこう
(この曲のカヴァーを沢山、聞きましたがやはりこのヴァージョンが最高でした。)
(やはりオリジナルを聞いておきませんと・・・"Beach Boys")
(ブルースのセルフ・カヴァー・ヴァージョンこれはレコードとは違うヴァージョンです)
わー、素晴らしい曲ですねー!私、知りませんでした。
返信削除アート・ガーファンクルはやはり天使の歌声?ですね~(^^)
3年前でしたか、札幌ドームにも来てくれたんですよ~!
もちろん、S&Gで。感激でした~!
ブルース、ご本人の歌声も深くて、とってもいいですね。
ムーンライトさん、素晴らしい曲をいっぱい紹介してくれて(しかもすごく詳しい説明つきで)、なんと、素敵なブログですね~(^^)
もっと、みんなに見てもらいたいです。
どうやったら、広がるんでしょうね~。
もしかして、開くのに、重いせいか、とても時間がかかるので、それで、なかなか見てもらえないのかも??
また、時々、遊びに来ます。
よろしくね!
一応自己紹介しますと、札幌の隣町に在住、夫、大4の長男、大2の娘(二人は京都在住)、高2の次男との5人家族、医療系の仕事をしています。日米安保の年に生まれました(^^;
2ヶ月前からピアノを習いだした音楽好きのおばさんです(*^^*)
のっぽのサリーさん。コメントありがとうございました。
返信削除この曲も大のお気入りで、色々なカヴァーを集めています。その中でもなんといってもアーティーのヴァージョンが一番のオススメです。ブルースの作品で、一番有名なのは、バリー・マニロウの「I write the songs」だと思いますが、この曲の方が個人的には好みなんです。「村上ソングス」ではこの曲と「God Only Knows」が取り上げてあって、Beach Boys関連曲が2曲もあったことに親近感抱いています。こうやって感想をいただくのが何よりの励みになります。ありがとうございました。私のプロフィールについては浪夢のFacebookページのIzakiをご覧下さい。
はじめまして
返信削除古いエントリーに突然すみません
どうしてもお礼のコメントがしたくて。。。
ディズニーガールズは前から気になって
お気に入りの曲でした
最近すっかり忘れていたんですが、ふと思い出して
歌詞の意味を知りたいと検索してこちらに辿り着きました
そしてここで歌詞を読みながら
ガーファンクルさんのカヴァーを聴いたら
それはもう鳥肌が立って、涙が出てしまいました。
素晴らしすぎます。
どうもありがとうございました。
追伸
コメント記入者の選択がよくわからなかったので匿名になってすみません
ありがとうございました。同じ曲を好きな方がいらして、ここに辿りついていただいて、そして感想をいただける。ブログ冥利に尽きます。
返信削除よければ時々覗いてみて下さい。私のとっても一生モノの1曲です。
こんばんは。よそのブログで‘PLEASE LET ME WONDER を聴いて、ちょっと精神が高ぶり出して、『BEACH BOYS CONVENTION』で検索してたら、またこちらへお邪魔しています。
返信削除DISNEY GIRL’、、、歌詞がこんなに素敵だったとは!
今の気分にぴったりです。リアリティなんてどうでもいいさ、とたまにはつぶやいてみたくなりますね。
エルビスさん、ブログへのコメントありがとうございます。
返信削除とても素敵な歌詞です。村上さんがこの曲を選んだ理由がわかるような気がします。私も同感です。リアリティばかりだと息がつまります(笑)。