
Artist:町支寛二
Album:Love and Mercy
Song:Laughter In The Rain
ア・カペラ(a cappella)~語源はイタリア語。無伴奏の合唱(コーラス)という意味でつかわれていますが、元は、教会音楽の一形式として使われたいた音楽用語だったようです。今では、無伴奏のソロでも「ア・カペラで歌う」とかいいますね。
すでに、ひとつの音楽のジャンルになっているようです。
昔からこのア・カペラというジャンルにはまっておりまして、特にオープン・ハーモニーが好みであります。
あるブログの解説によりますと、
「男性のハーモニーの基本は上から2つめのテナーがメロディを担当することが普通でした。ダークダックスを思い浮かべてもらうとわかりやすいですが、まんがさんがメロディ、パクさんが大体3度上を唄い、下駄さんが5度、象さんがオクターブ下で支える、といった具合です。これをクローズ・ハーモニー(close harmony)と呼びます。
それを、一番上のパートにメロディを持っていってしまったのがフォー・フレッシュメンで最初の試みだといわれています。そのためには、通常より4度から5度は高い声でメロディが唄えるシンガーが必要となります。このようなフォー・フレッシュメン・サウンドをオープン・ハーモニー(open harmony)と呼ぶようになりました。」
つまり、クローズ・ハーモニーは1オクターブ以内にコーラスが集中しており、その1オクターブの範囲をこえて、構成されるハーモニーをオープン・ハーモニーと呼ぶようです。(これはあくまでも、Jazzなどの理論のようで、Classicなどでは、密集和音、開離和音をさすようで、意味が異なるようですが・・・。)そのため、オープン・ハーモニーの方が音の拡がりのある、心地よい、響きになるんですね。
そんなわけで、オープン・ハーモニーにはかなり高いキーのヴォーカルかもしくはファルセット・ヴォーカルが不可欠なのですが、このオープン・ハーモニーとR&Rのリズムをドッキングさせたのが、ビーチ・ボーイズであります。比類なきブライアンのファルセットがなければ、あのドリーミィなハーモニーは完成されなかったともいえるわけです。(これに関しては、いつか取り上げてみたいと思います。)
このオープン・ハーモニーは、その後、ポップ・ヴォーカル・グループに多大な影響をあたえました。日本ではア・カペラという言葉を普及させた功績も含め、山下達郎が代表だと思いますが、この町支寛二さんも、あの浜田省吾と結成した、「愛奴」というグループの”二人の夏”という曲でBeach Boysっぽいオープン・ハーモニーを披露しています。
1998年にリリースされたこのアルバムでは、このブログでも紹介しましたヴァレリー・カーターや”アメリカ”のジェリー・ベックレーや、今やブライアン・ウィルソンの片腕的な存在のジェフリー・フォスケットをゲストに迎え、70年代の名曲がア・カペラにアレンジされています。その中から、70年代のニール・セダカを代表するこの曲を取り上げてみました。オープン・ハーモニーの心地よい世界を堪能してみて下さい。
("If~Laughter in the Rain" by町支寛二)
(愛奴の「二人の夏」 歌っているのは誰?)